2010-01-01から1年間の記事一覧
フランス文学者渡辺一夫(1901〜1975)の評論選。 今月下旬に発売される岩波文庫のリクエスト復刊の対象になっているが、たまたま立ち寄った古本屋で見つけたので購入した。 何箇所か引用してみる。 健全で正気な生活を送っているつもりの我々が、感動とか感…
山城新伍『おこりんぼ、さびしんぼ』とセットで購入した本。 勝新太郎に魅せられた著者が、これまであまり知られていなかった監督、製作者としての勝新太郎の実像に迫った労作である。この本は、著者自ら聞き出した勝の元スタッフたちの証言をベースに構成さ…
若山富三郎、勝新太郎兄弟の生き様を、彼らの身近にいた山城新伍が様々なエピソードをちりばめて語った本。日本の映画・芸能の貴重な裏面史であり、鶴田浩二や、若い頃の菅原文太、高倉健など登場人物も豪華だ。山城新伍の語り口は、芸能に一生を捧げた若山…
原題は、Le crime de Sylvestre Bonnard, membre de l'Institut(学士院会員シルヴェストル・ボナールの罪)で、1881年に出版された。学士院とは1795年に設立された国立の学術団体で、科学・芸術の振興および歴史的遺産の管理を目的としている。主人公のシル…
ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ(1894〜1980)は、ウクライナ出身のポーランド人作家。『尼僧ヨアンナ(原題は「尼僧長天使たちのヨアンナ」)』は1943年、ナチス占領下のワルシャワで執筆され、1946年に出版された中短編集の中で発表された。世界的に…
スノーボードの国母選手のことがずいぶんと話題になっている。ここまで大騒ぎするようなことでは全くないと思うが、マスコミはこの話が大好きのようだ。国母選手がメダルを取ったりしたら、今度はどのような扱いをするのだろうか。やや興味がある。 この話題…
ウィルキー・コリンズ(1824〜89)は、19世紀イギリスの作家でディケンズの同時代人。妹はディケンズ夫人となる。推理小説の分野では鼻祖的な存在。 ウィルキー・コリンズはずっと気になっていた作家だ。古本屋でこの短編集を見つけたので早速読んでみた。 …
数日前の新聞に、死刑制度を容認する声が全体の85%超で過去最高となったという記事が出ていた。 http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY201002060263.html死刑制度に対する意識を探る内閣府の昨年の世論調査で、死刑を「やむを得ない」と容認する人…
作者は19世紀フランスの小説家ウージェーヌ・シュー(1804〜1857)。バルザックの同時代人である。日本はもとより、本国フランスでも今ではほとんど読まれない作家だが、19世紀フランス文学、とりわけフランスの大衆小説の歴史を語る上では非常に重要な存在…
岩波文庫の赤帯(外国文学)ばかり900作品を読んだ著者の読書記録。読書開始は1996年1月で完了は1997年4月とあるから、1ヶ月あたりおよそ56作品をこなしていることになる。ただし、著者は全ての作品を隅から隅まで読んでいるわけではなく、途中で投げ出した…
2008年/アメリカ 監督・脚本:コートニー・ハント 出演:メリッサ・レオ(レイ)、ミスティ・アップハム(ライラ)http://www.astaire.co.jp/frozenriver/【ネタばれ、注意!!】 ※以下、映画のストーリーに関わる内容を含んでいます。この映画をこれから観…
1830年刊行の『人間生活情景』に収められた六つの中編小説のうちの二編。どちらも面白かったが、個人的には『ゴプセック』のほうが好み。 『ゴプセック』は代訴人デルヴィルがグランリュウ子爵夫人に話をするという形で、物語が進行していく。そこで中心的に…
岩波文庫のリクエスト復刊本が2月23日に発売される予定だ(リストはこちら)。今回はフランス文学に注目すべきものが多い。 バルザック『ツールの司祭 赤い宿屋』 メリメ『シャルル九世年代記』 フローベール『三つの物語』 ゴンクウル兄弟『ヂェルミニィ・…
J.D.サリンジャーが27日、91歳で死去した。この話題について検索していたら、映画評論家町山智浩さんのブログの記事が出てきた。2010-01-29 唐沢氏といえば、2007年出版の『新・UFO入門』の盗作問題以来、悪名を馳せるようになったが*1、サリンジャーの『ラ…
最近読んだ本ではないのだが、この本の著者が出ている動画を見つけたのでひとこと。http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=749711 この本は、今であれば新聞の一面を飾るような少年犯罪事件が、戦前には日常茶飯事のように起こっていたことを膨大な新聞記事…
久しぶりにSF作品を読む。フランスのSF作家ミシェル・ジュリの1973年の作品で、同年にフランスSF最優秀作品賞を受賞したらしい。日本語訳は1980年にサンリオSF文庫から出た。 だが、もっと悪いことがあった。鏡のなかでは、見知らぬ顔がかれの顔と重なり合っ…