評論・エッセイ

種村季弘『食物漫遊記』ちくま文庫

種村季弘による食物をめぐるエッセイ集。でも、あれが美味かった、これが美味かったというようなグルメ本ではない。そこはさすが種村季弘という感じで、ひとひねりもふたひねりもしてある。 たとえば「画餅を食う話」では、アパートに屯ろする学生仲間が、ひ…

種村季弘『偽書作家列伝』学研M文庫

電車の中で少しずつ読んでいた『偽書作家列伝』を読了。ちょっと前に読んだ、長山靖生『人はなぜ歴史を偽造するのか』では、愛国心と歴史が結び付いたときの、きな臭さを感じさせる話が多かった。『偽書作家列伝』はもっと肩の力を抜いて読むことのできる話…

渡辺一夫『狂気について 他二十二篇』岩波文庫

フランス文学者渡辺一夫(1901〜1975)の評論選。 今月下旬に発売される岩波文庫のリクエスト復刊の対象になっているが、たまたま立ち寄った古本屋で見つけたので購入した。 何箇所か引用してみる。 健全で正気な生活を送っているつもりの我々が、感動とか感…