日教組と腰パン

 スノーボードの国母選手のことがずいぶんと話題になっている。ここまで大騒ぎするようなことでは全くないと思うが、マスコミはこの話が大好きのようだ。国母選手がメダルを取ったりしたら、今度はどのような扱いをするのだろうか。やや興味がある。
 この話題に関して、今日の産經新聞に次のような文章が載っていた。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/100214/oth1002140240000-n1.htm
反逆は若者の特権である。それがまた時代を変える原動力にもなってきた。織田信長も若いころは「大うつけ(ばか者)」と侮られたが、天下布武に突き進んだ。話題のスノーボーダー国母和宏はどうだろう。やっぱりただのうつけにしか見えない。
 ▼国母クンは、サングラスをかけてネクタイを緩め、ズボンをずり下げてはき(「腰パン」というそうだ)、シャツのすそを出して成田からバンクーバーに飛び立った。昭和風の言い方をすれば、チンピラ・スタイルである。
 ▼最初の記者会見も大いに笑わせてくれた。服装について聞かれると「チッ」と舌打ちし、「反省してま〜す」とまったく反省していない様子で受け答えしていた。これでは日本オリンピック委員会(JOC)に苦情電話やメールが殺到するのも無理はない。
 ▼開会式の入場行進が、土曜昼だったのを幸い、小欄もテレビ中継につい見入ってしまった。誰かシャツを出していないか、腰パン男はいないかと。スノーボードハーフパイプなるものがどんな競技かもだいたいわかった。恐るべき国母効果だ。
 ▼そういえば、腰パン・シャツ出しで、街中をブラブラしている中高生は結構多い。お世辞にも頭が良いとはいえなそうな子供たちばかりだが、先生もサジを投げているのだろう。親の顔がみたいと言いたいところだが、お前はどうだと言われそうなのでやめておく。
 ▼鉄は熱いうちに打て。だらしない格好やぞんざいな言葉遣いは、心と生活の乱れにつながる。小学校高学年までに、祖先を敬い、友と仲良くし、故郷を大切にする心をはぐくまないと日本中、国母クンだらけになってしまう。日教組出身の民主党大幹部、輿石東先生はよくわかっておられるとは思うが。

 実に産經新聞らしい文章だ。お得意の日教組批判で結ぶところなどは、ほとんど名人芸の域に達していて感心する。この「小欄」氏にとって、電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、全部日教組のせいなのだろう。日教組、恐るべしだ。
 言うまでもないことだが、若者の「だらしない格好」は現代の若者の専売特許ではない。日教組以前の若者たちも、「だらしない格好」という点では負けてなかった。「小欄」氏は、腰パン男たちは頭が悪いと思っているらしいが、昔は、エリートに分類される若者たちが突飛な格好をして、街で大暴れしていたのだ(この種のエピソードは、このブログでも取り上げた『戦前の少年犯罪』に載っている)。「反逆」などと大げさな言葉を使わなくても、若者が上の世代に取って多かれ少なかれ目障りな存在、理解できない存在であることはいつの時代も変わらない。国母選手の一連の騒動は、ただそれだけの話だ。
 ところで、産經新聞Iphoneに無料のアプリがあるので、それを使って読むようになったのだが、ここまで低レベルの新聞だとは思わなかった。どんなトンデモ記事が見つかるかという興味で読むとなかなか楽しいが、金を払ってまで購読する気にはならない。保守系の新聞を自任するなら、エドモンド・バークあたりの著作を読んで、保守とは何かを考えるところから始めて欲しい。