ウィルキー・コリンズ『夢の女・恐怖のベッド―他六篇』岩波文庫

 ウィルキー・コリンズ(1824〜89)は、19世紀イギリスの作家でディケンズの同時代人。妹はディケンズ夫人となる。推理小説の分野では鼻祖的な存在。
 ウィルキー・コリンズはずっと気になっていた作家だ。古本屋でこの短編集を見つけたので早速読んでみた。
いずれの短編も登場人物が自分にまつわる話を語るという形をとっている(一編は書簡体小説)。『千夜一夜物語』や『カンタベリー物語』などでお馴染みの手法だが、私はこの形式が結構好きである。ウィルキー・コリンズの語り口はなかなか巧みだ。ストーリーだけ取り出して要約してしまうと何でもないような話が多いのだが、この語り口に乗せられて、先へ先へとページをめくってしまう。
 この作家の傑作選も出ているので、いつか読んでみたい。

夢の女・恐怖のベッド―他六篇 (岩波文庫)

夢の女・恐怖のベッド―他六篇 (岩波文庫)