歴史

ロビン・マックネス『オラドゥール―大虐殺の謎』小学館文庫

1944年6月10日、フランス中南部の小さな村オラドゥールで、ナチス親衛隊(SS)による大規模な虐殺事件が起こった。村人642人が殺され、生き残ったのはわずか数人。男は納屋に、女子供は教会にそれぞれ押し込められ、機銃の一斉射撃を浴び、火を点けられ、手…

マルセル・パニョル『鉄仮面の秘密』評論社

ボアゴベ『鉄仮面』、久生十蘭『眞説・鐵仮面』を読んだら、史実としての鉄仮面はどうだったのかが気になり、本書を読んでみた。著者のマルセル・パニョル(1895〜1974)はフランスの小説家、劇作家、映画作家である。鉄仮面の謎に関しては、ハリー・トンプ…

川北稔『砂糖の世界史』岩波ジュニア新書

著者はウォーラーステイン『近代世界システム』の訳者。本書も「世界システム論」的な歴史の見方がベースになっている。 本書によれば、砂糖がイギリスで大量に消費されるようになったのは、17世紀半ばのことだそうだ。その背景には、上流市民に独占されてい…

モードリス・エクスタインズ『春の祭典』TBSブリタニカ

前々から欲しいと思っていたエクスタインズの『春の祭典』を、吉祥寺の某古書店で発見。値段は1500円だった。去年末に出た新版は定価が9000円以上するし、旧版もアマゾンのマーケットプレイスでは結構な値段がついているので、迷わずに購入した。古書店をま…

長山靖生『人はなぜ歴史を偽造するのか』光文社知恵の森文庫

この本の前半部分では、偽史に取り憑かれてしまった人たちのエピソードが紹介されているが、これが実に面白い。いくつか紹介してみる。 江戸初期、偽系図作りを商売としていた沢田源内。彼は架空の系図をでっち上げるだけでは飽き足らず、歴史にも手を出し、…