和田英次郎『怪盗ルパンの時代―ベル・エポックを謳歌した伊達男』早川書房

 ルパンが活躍するのは19世紀末から20世紀初頭にかけてのベル・エポックと呼ばれる時代。パリが世界の文化的な中心地として飛躍的な発展を遂げた時代だ。ルパンは小説の中で、パリに生きる典型的な都会人として出てくる。ルパン・シリーズを読むことは、ベル・エポックに花開いた都市文化、消費文化を知ることでもある。
 『怪盗ルパンの時代』は、このようなルパン・シリーズの文化的背景に迫った本だ。章立ては以下の通り。

  • ルパンの時代
  • ルパンとファッション
  • ルパンと自動車
  • ルパンと貴族
  • ルパンとロシアの美女
  • ルパンとグルメ
  • ルパンと印象派の画家
  • ルパンはレーシング・ドライヴァーだったか?
  • ルパンとマタハリ
  • ルパンの足跡
  • ルパンの隠れ家

 ちなみに、著者紹介によると、この本の著者は1939年生まれで、ジャズと油絵を趣味とし、自動車会社に勤務とある。本が出版された89年当時のデータだが、文筆業を生業としない人がこれだけの本を書いたというのは素晴らしいことだと思う。

怪盗ルパンの時代―ベル・エポックを謳歌した伊達男

怪盗ルパンの時代―ベル・エポックを謳歌した伊達男