モーリス・ルブラン『怪盗紳士ルパン』ハヤカワ文庫

Maurice Leblanc, Arsène Lupin Gentleman Cambrioleur (1907).

 ルパンというと、小学生の頃、ポプラ社から出ていた児童向けのシリーズを学校の図書館でよく読んでいた。ルパンのシリーズは、同じポプラ社の少年探偵団のシリーズとともに、私のお気に入りだった。その後はルパンというとルパン三世になってしまい、本家本元のルパンからは遠ざかってしまったが、今回、ハヤカワ文庫から出ている最新訳のルパンを読んでみた。このハヤカワのシリーズは、年二回ずつの刊行で、新たなルパンの全集を目指す予定だったらしいが、四作目でストップしている。どうも売れ行きがあまり良くなかったらしい。
 『怪盗紳士ルパン』は、1907年に出版されたルパン・シリーズ最初の短編集の全訳。冒頭の「アルセーヌ・ルパンの逮捕」という短編は、1905年に「ジュ・セ・トゥ」という雑誌に発表されたルパン・シリーズの第一作だが、タイトルが示しているように、この作品の中でルパンはガニマール警部に逮捕される。初登場作品でルパンがいきなり逮捕されてしまうというのは何とも面白い。
 「アルセーヌ・ルパンの逮捕」のあとは、「獄中のアルセーヌ・ルパン」、「アルセーヌ・ルパンの脱獄」と続いていき、最後の「遅かりしシャーロック・ホームズ」まで九作品が収録されている。どれも気軽に読めるミステリーという感じで、通勤の合間の読書や寝る前の読書に最適かもしれない。今回、ハヤカワ文庫の新訳版をまとめて手に入れたので、しばらくはルパンを楽しみたい。

怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM)

怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM)